よく話しに来ていた菓子屋の主人。よもやま話の中で必ず出てくるセリブが「なんで戦争に負けたのかいまだに分からん」というもの。戦後20年近く経過している頃です。中支で陸軍軍曹として、部下を厳しく鍛え、住民に対する宣撫工作もしっかりやり、討伐も成果をあげている。攻勢作戦こそないものの治安維持に自信を持っていたとのこと。今頃なんでという感じでしたが、本人はいたって真剣でした。記憶にあるのは「兵隊さん」と敬称付きで呼んでいたこと。帰るとき腰を10度に折って満足そうに帰っていったこと。父親の感想は「国策に全身全霊で取り組んだ人はめずらしい」というものでした。